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食べることは、赤ちゃんのお口の発達ばかりか、言葉や心、
そしてからだの発達ととても深い関係があります。
さあ、離乳食のはじめ方、進め方を赤ちゃんに聞いてみましょう。
いつから離乳食を開始すればいいかの目安は、赤ちゃんに教わることができます。
まず大切なのが「首すわり」。自分で頭をまっすぐ支えていられるようになると、舌を動かしたり下あごを開け閉めするなど、食べるときに重要な筋肉を動かせるようになります。
次に「指しゃぶり」や「おもちゃなめ」です。離乳食は、これまでママのおっぱいや哺乳びんしか知らなかった赤ちゃんが、スプーンなど新しい道具を口に入れ、おっぱい・ミルク以外の味や食感を経験していくことです。そこで赤ちゃんは、指をしゃぶったりおもちゃをなめたりしながら「予習」をしています。赤ちゃんって、すごいですね。
この頃の赤ちゃんは、頭のサイズが大きくなることで上あごの位置が上がり、のどの奥にひろがりができます。それによって、口いっぱいを占めていた舌の面積が相対的に小さくなるので、舌を動かせるスペースができます。まだ前後の動きが中心ですが、これから徐々に、いろいろな動きを獲得していきます。また、唇をとじてスプーンにのせられた食べ物をこすりとり、口のなかに運ぶこともできるようになっていきます。
じょうずな食べさせ方のコツは、スプーンを下唇に軽くのせてあげること。赤ちゃんのほうから唇を動かして食べようとします。食べてほしい思いが強すぎて、スプーンを口につっこんだり、上の歯ぐきにこすりつけて食べ物を入れようとすると、赤ちゃんはびっくりしてしまいます。あせらず赤ちゃんからのアプローチを待ちましょう。

未知の味が入ってきたときに、「べーっ」と出してしまうこともありますが、あごに流れてしまったものをスプーンでまとめて口に運んであげることで、唾液といっしょに「ごっくん」と飲み込むことも覚えていきます。
離乳食は、赤ちゃんがおっぱいやミルク以外の味に出合い、食べものを飲み込んだりかんだりするときの舌や唇、あごの動きを練習することが一番の目的なので、どのくらいの量を食べられたかに、気をもむ必要はありません。
大切なのは、食べもののやりとりを通して、ママと赤ちゃんがいい関係を築くこと。「はい、あ~ん」。お口をあけてくれたら、「ぱっくん!」。じょうずに食べられたら「おいしいね~」、ベーッと出してしまったら、「あれぇ、まだ早かったかな?」と、笑顔でお話ししながら、楽しい時間を過ごしてください。
モグモグやゴックンで使う口は、ことばを話すための器官でもあります。赤ちゃんは、離乳食でいろいろな舌や唇の動きをマスターし、それによって、いろいろな発音を身につけていきます。
食べることと話すことは、密接につながっています。赤ちゃんに合わせながら無理なく離乳食を進めること、そのなかで、ママがやさしいことばをたくさんかけてくれることは、ことばを話すための口の機能と、この人とかかわりたいというこころの両方を同時に育てることになるのです。
最後に、一番大切なこと。それはママの笑顔です。今はまだ、たった一口でも十分。「おいしいね」「ごっくん!」とことばをかけてあげられたら、離乳食は大成功です。
おすわりがじょうずになると、両手が自由になります。赤ちゃんは、自分からいろいろなものに手を伸ばして、それを口に入れて確認するといった、探索活動に余念がありません。食事のときも、お皿に手を入れて食べものを握ったり、食器を持ちたがったりします。
安全な赤ちゃん用スプーンを持たせてあげると、それで食事の真似ごとのような動作をすることも。もちろん、まだ自分ですくって食べるのは無理ですが、食事をしている「気持ち」が出てくるのはすごいこと。「じょうず、じょうず!」といっぱいほめながら、ママのスプーンでお口に食べものを入れてあげてください。
これまで前後の動きだけだった舌が、上下に動かせるようになり、それによって、口のなかの食べものを、舌と上あごでつぶして食べることができるようになります。つぶせるということは、口のなかで味わって食べることができるようになる、ということでもあります。
このころ、前歯もひょっこり顔を出し、下あごの骨が成長して口のなかの面積はさらに広がるため、口のなかの食べものを、いろいろと動かすことができるようになります。つぶした食べものを、舌のまんなかをへこませてまとめ、それをのどの奥に送り込むという、器用な動きもできるようになります。
離乳食初期用のくぼみの浅いスプーンから唇や出はじめた前歯で食べものを取り込めるようになったら、スプーンを少し深いものにしてみましょう。幅は赤ちゃんのお口より狭いものを。スプーンの先端に食べものを置いて、赤ちゃんが自分で食べるのを待つようにしてください。スープなどもスプーンで、赤ちゃんのすする動きを待って、少しずつ傾けて飲ませてみましょう。

この時期のストローは、吸啜(きゅうてつ)の動き(赤ちゃんが、お口の近くにあるものをなんでもチュルチュルと吸う反応。原始反応のひとつで、やがて消えていきます)を助長してしまうことがあります。モグモグの練習のためにも、味や香りを感じながらゆっくりおいしさを味わうためにも、もうちょっと待って。
このころの赤ちゃんは、ママの声を聞いて、それとよく似た感じで「むにゃむにゃ」と返事を返しているかのような、おしゃべりの“きざし”が見え始めます。ほしい物に手を伸ばして、「アッアッ」と声を出して大人を見て「とって」という気持ちを伝えたり、ものを落として「あ~あ」というと「ア~ア」と真似をしたり、赤ちゃんの気持ちが分かりやすくなり、やりとりも楽しくなるころです。
離乳食が2回になったら、1回の食事は家族といっしょにするのもよいと思います。家族が、おいしそうにもぐもぐと食べる姿を見ながら、赤ちゃんもスプーンをもっていっしょにもぐもぐ。
笑顔と会話がいっぱいの食卓では、どんなものでもおいしく食べられちゃう。ママがほっぺをツンツンと指差して、「おいしい?」と聞いたら、赤ちゃんも指でほっぺをツンツンと指して、「おいしい!」のサインを返してくれるころです。
このころの赤ちゃんは、ハイハイで自由な移動を手に入れ、さらにつかまり立ちやつたい歩きと、めざましい発達をしていきます。手や指も器用になってきて、たまごボーロのような小さなお菓子を、指先でつまんで食べられるようになります。
食事もだんだん「自分で」食べたがるようになり、うどんやスープの具まで手づかみで食べようとするので大変! そのうちムギュムギュ、パシャパシャと「遊び食べ」もしますが、これも赤ちゃんの成長の証、自分で食べていくための練習です。大目に見てあげてください。同時に、遊びばかりで食べなくなったら、「ごちそうさま」とさっさと撤収することで、「遊び食べ」はなくなっていきます。
これまで舌と上あごで押しつぶしながら食べていたのが、次第に上下の歯ぐきで、やや堅めのものをすりつぶすようにして食べられるようになります。これは人間の摂食機能の大部分を占める、とても大切な咀しゃくの基本動作です。そのほかにも、上下2本ずつ生えた前歯で、スティック状のものをかじることもできるようになります。
舌は前後、上下に加えて左右にも動くようになり、食べものを歯ぐきの奥に送りこみ、すりつぶすときには、頬と協調して歯ぐきの上に食べものを支えるなどの役目もするようになります。
離乳食も後期になると、食べられる食材もぐんと増えてきます。いろいろな食材にチャレンジして、世の中には、もっともっとおいしいものがたくさんあるんだよ、と教えてあげたいですね。
でも、赤ちゃんにとって、初めての食材は、味や食感になじみがなく、最初はびっくりして「べ~ッ」と出してしまうことも少なくありません。一生懸命作ったママは、ちょっとがっかり……。たくさん食べてほしいと願うあまり、赤ちゃんが食べなれたメニューに偏りがちですが、一度や二度、「ベーッ」とされただけで、「この子、にんじんはきらいみたい……」と早とちりして、食べさせるのをあきらめないで。
この時期の赤ちゃんに、まだ「好ききらい」はありません。新しい味に、ちょっと警戒しているだけ。しばらくあいだを置いて、赤ちゃんがおなかぺこぺこの日に、もう一度トライしてみると、今度はペロッと食べてしまうことも、よくあることです。

この時期の赤ちゃんは、まだ自分からことばは話さないけれど、大人が言っていることは、ずいぶん「分かってるなあ」と感じられるようになります。おやつのときに、「ちょうだい」と言うと、ママのお口にお菓子を入れてくれたり、「ごはんですよ」と言うと、自分から食卓いすに座ろうとしたり。「おいしいね~」「ネ~」など、ちょっとした“会話もどき”もできるようになるので、食事の時間は、さらに楽しいものになります。
おいしいものを、大好きな人といっしょに、笑顔でいただくことが、赤ちゃんのこころを豊かにし、ことばの世界を広げていきます。匂いや食感や味とともに、「バナナ、おいしいね」というママの声が聞こえることで、赤ちゃんに「バナナ」「おいしい」といったことばがしみこんでいくのです。
こうして、実感とともに「分かることば」をたくさん記憶の引き出しにいれ、ある日それが「言えることば」となって、赤ちゃんの口から出てくるのです。








